JUST FRIENDS 修理レポート:Sansui AU-α907XR 保護リレーが解除しない/カチカチ繰り返す症状の修理
こんにちは。オーディオ専門店 JUST FRIENDS です。
今回は、お客様よりお預かりした Sansui AU-α907XR の修理内容をご紹介いたします。
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お預かり時の症状
お客様からのご相談は「電源を入れてから音が出るまで30分以上かかる」という内容でした。
本来は電源投入から数秒で保護リレーが解除されるところ、なかなか解除されず、長時間待たないと音が出ない状態です。
さらに点検中には、約6秒おきにリレーが「カチッ」と入りかけてはすぐ離れる動作を繰り返し、まったく解除されなくなりました。
AU-α907XRの特徴(X-BALANCED構成)
AU-α907XRは、パワーアンプ部に X-BALANCED(バランス)構成を採用したモデルです。
1チャンネルごとに HOT 側と COLD 側の2つのアンプを持ち、スピーカー端子の黒(COLD)側も GND ではなくアンプの出力になっています。
保護回路は左右の HOT/COLD、計4つの出力の DC をそれぞれ監視しており、異常があればリレーでスピーカーを切り離す仕組みです。
DCオフセットの確認
保護リレーが解除しない原因として、まず疑われるのはアンプ出力の DC オフセット異常です。
4つの出力それぞれを GND との間で測定したところ、いずれも数mV〜十数mV程度で、パワーアンプ側に異常は見られませんでした。
この時点で、アンプ側ではなく、保護回路やリレー駆動側に原因がある可能性が高いと判断し、プロテクター基板の点検を重点的に進めました。
リレー駆動用電源の電圧不足
リレーが一定間隔でカチカチする動きは、保護ICがリレーを引いた瞬間に電源電圧が落ち込み、リセットされているときの典型的な症状です。
リレー駆動用の電源を追っていくと、本来約34Vあるべきところが25V前後しか出ていませんでした。
トランスからの交流入力は正常で、流れている電流も正常範囲です。
そこで平滑用の電解コンデンサの両端を交流レンジで測ったところ、本来1V以下に収まるはずのリップル(電圧の脈動)が約6Vも出ていました。
コンデンサが平滑の役目を果たせず、リレーを引くと電圧が落ち込んでいたことが原因と判断しました。
平滑コンデンサの劣化
取り外したコンデンサ(100µF/50V)を ESR メーターで測定すると、容量は73µFまで低下し、ESR(内部抵抗)は測定上限の20Ωを超えていました。
正常なコンデンサであれば、ESR は1Ω以下です。
このコンデンサは過去のオーバーホールで交換済みでしたが、周囲をトランジスタや電力用の抵抗に囲まれた熱のこもりやすい位置にあり、劣化が早く進んだものと思われます。

修理作業と動作確認
- 4出力(L/R・HOT/COLD)の DC オフセット測定
- リレー駆動用電源の電圧・リップル・電流を測定し、不良箇所を特定
- リレー電源の平滑用電解コンデンサを新品(105℃品)へ交換
- 交換部品は取り付け前に ESR を測定し、良品であることを確認
- 通電後、リレー電源の電圧が正常に戻り、リップルが小さく収まっていることを確認
ここまでの作業で、電源投入から数秒で保護リレーが解除され、そのまま保持されるようになりました。
最終チェック
電源の入り切りを繰り返してもリレー動作が安定していること、ヒートラン(時間をかけて温まった状態)でも DC オフセットが規定内で安定していることを確認し、音出しチェックを行いました。
保護リレーの解除不良は解消し、左右とも正常に出力される状態まで復帰しました。
なお、今回の修理費用は 22,000円(税込)にてご対応させていただきました。
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まとめ
今回は、保護リレーが解除しない原因を追っていった結果、アンプ側の DC オフセットではなく、リレー駆動用電源の平滑コンデンサの劣化が原因であることが確認できました。
コンデンサを新品に交換し、取り付け前の ESR 測定と通電後の電圧・リップル確認まで実施したことで、安定動作を確認できました。
お預かりした大切な機材を、安心してお使いいただける状態に整えるのが私たちの仕事です。
ご依頼いただき、誠にありがとうございました。
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