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真空管の動作原理

このページでは、真空管がどのように電気を流し、
音声信号を増幅しているのか、その基本的な仕組みを説明します。
難しい回路設計ではなく、
真空管の中で何が起きているのかを順番に見ていきます。

まずは電気がどのように流れるのか、
基本から確認していきましょう。

電気と電子の流れ

真空管の動作原理を理解する為に、
まずはじめに乾電池と電球を使った簡単な基本回路から見てみましょう。

電気はプラスからマイナスに流れます。
流れた電気の量を「電流」、電池が電気を流そうとする力を「電圧」と呼びます。

金属のように電気を通す物体を「導体」、
プラスチックやガラスのように電気を通さない物質を「絶縁体」といいます。

電気の正体は電子という粒子の移動です。
電子はマイナスの電荷を持っています。

金属中での自由電子の模式図

電池のように極性が変わらない電流を直流、
発電所から送られるように極性が入れ替わる電流を交流と呼びます。
交流を直流へ変換することを整流と言います。

ここまでで電気の基本が分かったところで、
実際の真空管の構造を見ていきます。
まずは一番シンプルな構造の真空管から説明します。

2極(ダイオード)真空管

現在は半導体ダイオードが一般的ですが、
以前の整流回路では真空管が使われていました。

二極真空管はガラス管の中に、
電子を出す電極(カソード)と、
電子を受け取る電極(プレート)を持っています。

カソードを加熱すると電子が放出されます。
プレート側がプラス電圧のとき電子は引き寄せられて流れますが、
マイナス電圧のときは流れません。

この性質により電流が一方向だけ流れ、
交流を直流へ変換する整流が可能になります。

3極(トライオード)真空管

この真空管にさらに「グリッド」という網状電極を追加したものが三極管です。

グリッドの電圧を変えることで、
流れる電子量をコントロールできます。

小さな電圧変化で大きな電流を制御できるため、
信号を大きくする「増幅」が可能になります。

このグリッド制御の仕組みが、
オーディオ用真空管の基本になります。
プリ管やパワー管もこの原理で動作しています。

グリッドが1個の真空管を3極管、
2個以上あるものを多極管と呼びます。

多極管

多極管は複数のグリッドを持つ真空管です。
役割を分けることで増幅性能や安定性を高めています。

一般的には第1グリッドで電流制御を行い、
第2グリッドで電子の流れを安定させます。

多極管の3極管接続

多極管は配線方法によって、
第2グリッドをプレートに接続することで
三極管の特性で動作させることもできます。

ビーム出力管

ビーム出力管は電子をビーム状に集中させる構造を持つ出力用真空管です。
構造は4極管に近いですが、
特性や使い方は5極管と同様に扱われます。

まとめ

真空管は内部で電子を放出し、
電極の配置と電圧によって電子の流れを制御することで
電流をコントロールしています。

この仕組みによって整流や増幅が可能になり、
オーディオアンプでは音声信号を大きくするために使われています。

実際のアンプでは様々な型番や構造がありますが、
基本の動作はここで説明した原理の組み合わせです。
この基本を理解しておくと、
真空管の種類や回路の説明も読みやすくなります。